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「VR業界の2017年を総括!」レポート(4) ~VR/AR/MR業界振り返りナイト&コンテンツ体験会~

 

3から続く

日本が先行するロケーションVR分野の2018年の行方に期待

VR ZONE SHINJUKUをオープンしてみてホラー系や絶叫系のVRコンテンツがもっとも反応があると想像していた小山氏と田宮氏。しかしVR体験者の意外な反応を見ることができたという。

「VR ZONE SHINJUKU内で、もっとも取り乱して絶叫してくれたのは『マリオカート アーケードグランプリ』という事実には衝撃を受けましたね(笑)。このVRアクティビティでは、最初のジャンプ台のところでカートが一度落下してカイトが開くというところでお客さんのスイッチが入り、その後は絶叫しっぱなしになります。VRを期待してこういうことが起こるのだろうと思いつつ、マリオカートのことは知っていて。それで実際にマリオカートの世界に入ると、『遊園地の中のマリオカートだなあ』という感じでスタートしたらいきなりジャンプして落下するのですから…。そこでスイッチが入るのだと思います。

ちなみに、VR ZONE SHINJUKUに来られるお客さんの殆どはVR体験が初めての人だといえますね。私の予想ですが、80%から90%の人たちは、一度もVRゴーグルを被ったりVRコンテンツを体験したりしたことがない人たちでしょうか。『マリオカート アーケードグランプリ』でもっとも絶叫する、というのはそういった背景もあると思います」(小山氏)

 

2017年にはVRが定着してきたと考えていたものの、「一般コンシューマーにとってはまだまだ」と小山氏は話す。

「2017年の11月に実施した調査結果には愕然としました。VRに関心がありVR未体験か少しだけ体験したという程度の人たちに、『VRで一番なにをやりたいか?』という質問に対して返ってきた答えは『旅行』『映画』『一人でゲーム』でした。いまだに『VRって大画面でなにか凄いものが見られるんでしょ』という認識から抜けていなかったのですね」(小山氏)

「VRが定着したというよりは、VRという言葉だけが定着してしまい、じつはVRのパフォーマンスを理解する手前で『既に知っている』という状態になっている可能性があります」(田宮氏)

「そこで先ほども話したVR ZONE Portalで全国へとVRの布教活動をしていかないといけないわけです」(小山氏)

 

現在、バンダイナムコゲームスでは、大きなIPとも話ができるようになっている。その背景にはVR ZONE SHINJUKUのオープンと成功が大きいという。

「VR ZONE SHINJUKUをオープンするとき、『お台場でやっていたのでこんなことができるんですよ』という様々なIPに対してお話しができる状態になっていたため、新宿のラインナップが出来上がったのです。2017年にVR ZONE SHINJUKUで風呂敷を広げたので、これまでよりもさらに大きな話ができるようになりました。2018年にはさらに凄いものがお見せできると思います」(田宮氏)

 

翻って安藤氏はというと、ハシラスでは手持ちのVRコンテンツが多いため、打ち合わせでも過去の制作物を見せて担当者の要望を具現化できるという。

「これまで制作したVRコンテンツは累計で40前後。作成している筐体の数では100を超えていると思います。あとはなんといってもバリエーション。過去のVRコンテンツの中で似たものが一切無いというところに強みを持っています。今後のVRアトラクション施設は、施設自体がVRプレイエリアになり、利用者がVRヘッドセットを装着したままでシームレスにVRアトラクションやVRアプリを切り替えられるようになるかもしれません。そこでハシラスでも、2018年にはそういったVRアクティビティの開発にもチャレンジしていきたいですね」(安藤氏)

 

ロケーションベースVRの分野は世界で日本が先行している。日本に続いて最近ではアジアでも盛り上がりはじめたところでもあるため、2018年はロケーションベースVRのさらなる盛り上がりに期待していきたい。