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「MURO’S VR WORKSHOP」レポート(前編)

去る2018年1月13日、ボーンデジタル社のセミナールームで、「MURO’S VR WORKSHOP」と題されたワークショップが開催された。本ワークショップには、株式会社エクシヴィのビジュアルディレクターMuRo(室橋雅人)氏が登壇。VRコンテンツを開発する上で忘れてはいけないことを中心に詳しい解説がなされた。

 

映像を簡単につくれるVRツール『MakeItFilm』

昨今、VRコンテンツを作成する難易度が下がってきているが、いくら容易になったとしてもユーザー側が感じる部分は、キャラクターのプレゼンス(存在感)によって大きく変わってくる。コンテンツを体験する人の心に印象付けるには、ヴァーチャルのキャラクターがあたかも目の前へ実際にいることを錯覚させるためのテクニックが必要だ。そこでこのワークショップでは、MuRo氏が発表した「VR空間で映画が撮れる」と評判の『MakeItFilm』と、VR空間内でストップモーションアニメを作れる『PlayAniMaker』を例に話が進められた。

 

 

もともとデザイナーとしてゲーム開発を経験し、アニメーションやコンポジットを得意としているMuRo氏。VRとの出会いは、株式会社エクシヴィのビンゴ大会で1位となり、その賞品としてVRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を獲得したことだという。

「『Oculus Rift』を頂いてからUnityを独学で学び、『MakeItFilm』と『PlayAniMaker』というVRツールを発表しました。まず『MakeItFilm』から紹介しますと、これはVRで映画をつくれるクリエイティブツールです。このVRツールを使うことで『映像作品づくりを簡単にしていきたい』という目的で作りました。CGで映像作品を制作する場合、はモニタ越しにキーフレームを設定しながらカメラアングルを決めていますが、そのことがいつも面倒くさいと思っていました。また、それでは直感的ではないので、カメラを持ったほうが早いのではないかとも考えました。そこで、そこで『VRにすれば空間把握はいけるよね』というところから、『MakeItFilm』の構想がスタートしたのです」(MuRo氏)

 

『MakeItFilm – Next Stage -』のプロモーション動画

 

『MakeItFilm』は、VR空間内でカメラを持って撮影している動画がモニタに投影され、それをキャプチャすることで映像として完結できるツールだ。

「CGで映像を作っていると、レンダリングに時間がかかるのが悩みです。そこで、レンダリングは無くしたいと考え、コンポジット作業も含め全部撮影処理にしています。シーンの作成には、UnityのAdamデモのアセットを使用し、自分がアバターとして3Dモデルのキャラクターとなり、その演技を録画すればモーションを作成するのも省けるというアクター機能も実装しました」

 

直感的なカメラワークで映像をつくることによって、まったく3DCGを触れていない人でもカメラワークがつくれるようになる。実際、3DCGを触ったことがない実写のカメラマンに試してもらい、「リアルなカメラと同じ感覚で撮影できる」というコメントをもらったという。

「技術書や雑誌などにカメラワークやカメラアングルのことが書いてあっても、シーンを実際につくっていかないとわからないことが多くあります。そこで、このようなVR空間という舞台があれば、技術書や雑誌などで学んだカメラワークやカメラアングルを試し、感覚として学べるようになりました。『MakeItFilm』によって、映像を作成するハードルが圧倒的に下がったということです」

 

『MakeItFilm』に今後取り入れたいことは、オンラインで接続してアクター側と撮影側が別々の場所で作業を行ったり、撮影したデータをクラウド上にアップして複数メンバーでシェアしながら作品を制作していったりしたい、とMuRo氏は話す。

 

中編に続く)