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パース制作現場におけるCGとVRの活用の仕方 ~スペースラボ株式会社に聞く~(前編)

内装・インテリア関連のCGパースやウォークスルー動画、VRコンテンツなどの制作を手がけているスペースラボ(http://spc-lab.jp/)。業界でも珍しい“CGパース専門”の総合プレゼンテーションサポート企業である同社は、商業施設や店舗などのCGパース制作に強みを持っており、手がける案件は年間約2,000件以上を超えているという。

そこで今回は、代表取締役である「柴原誉幸」氏、取締役である「金澤勇輝」氏、CGクリエーター&VRアーティストである「工藤美紀」氏、「小笠原 彰」氏に、スペースラボにおけるCGパースやVRコンテンツ制作の現状や展望などについて、お話をしていただいた。

 

商業施設のパース制作に特化したCGプロダクション

――スペースラボではどんな事業を展開されているのですか?

柴原氏:当社の基本コンセプトは、「プレゼンテーションサポート企業」です。プレゼンテーションで、CGパースを中心にウォークスルー動画や最近ではVRコンテンツを見せることでクライアントのお役に立てるような事業をしています。その中でも、もっとも需要が高いのはCGパースとなっています。CGパース制作会社として特徴的なこととしては、私が映像制作出身のため、ウォークスルー動画のような映像にも取り組んでいることでしょうか。また、CGパースについては、フルCGをモデリングしており、画像をPhotoshopで加工して済ませられようなところまで、きっちりとすべてCGで制作しているところも特徴です。

 

――どんなジャンルのCGパースを手がけられているのでしょうか?

金澤氏:弊社は商業施設のCGパースに特化しているのが特徴です。現在、手がけているCGパースの95%ほどが商業施設(大型商業施設、ホテル、物販、飲食、オフィス、外観など)のものです。名だたる組織設計事務所から有名アトリエ系の設計事務所まで、ほぼすべてが弊社のクライアントになっており、「日本で商業施設を手がけるCGパース制作会社としてはナンバーワン」だと自負しています。

 

――グループ会社もあるそうですね。

金澤氏:はい。現在、3社ほどあります。1社はTGV株式会社です。この会社では著作権が発生する素材を販売しています。たとえば、パースを制作する際に人物を配置するパターンが多くあると思いますが、最近では他社で制作されているCGパースに使われている人物素材が肖像権を侵害していることが発覚し、問題になっているケースも多発しています。そこで弊社では、著作権フリーの人物素材を撮影、切り抜き、データ化して販売しています。現在、写真素材の切り抜きによる人物素材だけですが、今後は弊社で制作した様々な3Dデータの素材も販売していこうと考えています。

 

TGV株式会社のオフィシャルサイト

 

もう1社は、弊社の1階に店舗を構えている株式会社パソコン修理工場です。もともと、弊社のパソコンをメンテナンスするところからスタートしているのですが、今ではCGに特化したマシンをBTOで組み立てて販売をしています。CGやVRの制作に適しているハイエンドなマシンだと、販売しているメーカーも限られ、価格帯も高くなってしまいます。同時に、CG制作の現場で培った弊社のノウハウを他社にも提供供していきたいという考えから、メンテナンスを含めたCG制作向けのハイエンドなマシンを販売しているわけです。ちなみに、弊社のパソコンも、すべて「パソコン修理工場」のBTOパソコンを使用しています。現在フランチャイズが全国3店舗あります。

 

株式会社パソコン修理工場のオフィシャルサイト

 

残りのもう1社はフィリピンに立ち上げたばかりの会社ですが、オフショアのCG制作オフィスです。弊社で整理されていない3Dデータのライブラリ化をしてもらう予定です。じつは弊社には、起業から10年間で3Dデータが何万、何十万規模で残っていて、それがまったくライブラリ化されていないのです…。1000テラバイトは軽く超えたデータが社内にデッドストックされており、サーバー代だけでも無駄にコストがかかっている状態です。そこで、その3Dデータのライブラリ化が緊急の命題というわけです。

 

――CG制作環境を教えてください。

金澤氏:弊社の主なクライアントである設計事務所では、VectorWorksというCADソフトが多く使われています。そこで弊社では、VectorWorksと親和性が高いCINEMA 4Dという3D CGソフトを主に使用しています。VectorWorksのCADデータを変換しCINEMA 4Dでモデリングでしたら、あとはCINEMA 4DかV-Rayでレンダリングをし、Photoshopで画像の加工をするといった流れになっています。また最近では、3ds Maxも使用しはじめたところです。

工藤氏:CINEMA 4Dは、使い方が簡単なところに特徴があります。モデリングが簡単な分、テクスチャやポリゴンの編集などに力を入れています。また、レンダリング時間の短縮のため、ローポリゴン化にもこだわり始めたのですが、どうしてもCINEMA 4Dは弱いところがありました。そこで、3ds Maxを使うようになったという経緯があります。

 

中編に続く)