デジタルクリエイターを支援するサービスカンパニー ボーンデジタル

Shotgunの伝道師に聞く、導入のメリット(前編)

オートデスクが提供しているプロジェクト管理ツール『Shotgun』。このツールを日本の多くの企業にもたらしているのが、認定販売パートナーである株式会社ボーンデジタルだ。同社でサポートを担当するショットガン・トキトウ氏に、Shotgun導入によってどんなメリットがあるか、お話を伺った。

ショットガン・トキトウ氏

 

──Shotgunとはどんなツールですか。

トキトウ氏「Shotgunはクラウドで使うプロジェクト管理ツールです。インターネットに接続できる環境なら、どこからでもアクセスできます。これまで使っていたチェックバックシートや修正の指示、データのやり取り、スケジュールなどをこれひとつで一元管理することが可能です。
日本では大手の映画、CG、アニメに携わっていらっしゃる制作会社に導入いただいています。私はShotgunを初めて導入される多くの会社や、トライアルを始めたがサポートを必要とされる現場の方々の、スタートアップのお手伝いをしてきました」

全プロジェクトの進捗状況各プロジェクトの全ステータスの内訳を拾って、全プロジェクトの進捗状況を確認するページを作ることができる。

──なぜ、Shotgunのサポートを開始されたのですか。

トキトウ氏「私は以前、現場で制作をしていました。その時たまたま会社でShotgunに出会い、試してみたら非常に使い勝手がよかったんです。協力会社への情報共有がスムーズになり、社内のメンバーへの修正指示、いわゆるチェックバックもスムーズになりました。制作管理の環境が向上し、残業や休日出勤をせずにクオリティを十分上げた上で、納期までに完成させられました。

一例では、4カ月の仕事を3カ月で終え、25%の工数削減を達成できました。『これが日本で広まって制作環境が改善されれば、もっと面白いコンテンツがたくさん出てくるのでは』と思い、ボーンデジタルに入社してサポートを開始しました」

──Shotgunでプロジェクトを管理するメリットは何ですか。

トキトウ氏「プロジェクト単位で見ると、誰がどの仕事を何件くらい持っているか、すぐに見つけられます。作業の偏りを見つけて、均等に割り振るという判断もしやすくなります。
管理者も権限を持つことで、Shotgunにアクセスできます。上がっているデータはクリックすればすぐに再生でき、気になればコメントや修正指示をクラウド上で書いていただけます。書いたものは、すぐアーティストに届きます。
データや修正指示、スケジュールが一元管理されるので、

データのアップロード → 修正指示 → 修正作業 → 再アップロード

というサイクルの回転率を上げることができます。プロジェクト全体を俯瞰できて、納期の遵守、クオリティの担保などが見込めます。

必要があれば、社内で走っている全プロジェクトのステータス内訳、OKが何件で修正中が何件、といった一覧を見ていただくことも可能です。
Shotgunを導入してメールが減った、FTPを使わなくてよくなった、エクセルのチェックバックシートを使わなくてよくなった、と多くのメリットを感じていただいていますが、『ミーティングが減った』という会社はすごく多いですね。これは、問題解決のためのミーティングの実施が減っているのではないかと考えられます」

──効率化によって、コストも削減できますか。

トキトウ氏「2種類のコスト削減が見込めます。ひとつは、目に見えやすいコストです。通常プロジェクトを進めるためには優秀な制作進行管理者が必要になりますし、遅延が起これば優秀なアーティストを1人追加するコストも発生します。
同様の管理ツールを開発するコストも必要ですし、ツールを走らせるサーバーの維持コストもかかります。これらがまとめて削減できます。

もうひとつは、目に見えにくいコストです。プロジェクト進行中の人的ミスやコミュニケーションエラーによって生じた追加作業のコスト、突発的なエラー発生時の対応コスト、適正な作業割り振りとマネジメントのためのコスト、などが該当します。
これらはプロジェクト開始前の作業工数見積りでは計上されないため、ほとんどの場合現場はエラーやミスが許されない状況で戦っています。

Shotgunは、これらのコストを軽減する設計になっています。状況確認と判断がしやすく、リスクマネジメントをとりやすくするツールだとも言えます。
ここまで広まったのは『費用対効果としては十分』と認識していただいたからだと思います」

2種類のコストを軽減

2種類のコストを軽減

 

──アーティストのメリットは何ですか?

トキトウ氏「これまではデータが出来るとチェックバックシートに書いて、それを制作者の人が開いて確認していました。それがエクセルだと〝読み取り専用〟などの通知が出て最新の情報が分からなくなったり、管理者が書く時間を待ったり、といったことがありました。

アノテーション

アノテーション

Shotgunでは、インボックスでやり取りできます。画面に直接書き込みすれば、書いた時点でインボックスに最新のチェックバック指示が飛んできます。指示をいちいち探さなくてすむのがメリットです。
ストレスなく働きやすい環境が出来れば頭がクリアな状態で作業に集中できるので、必然的に作品のクオリティも上がってきます。Shotgunを導入すると『管理されてしまう』という印象を持たれる方がいらっしゃいますが、適正に仕事が割り振られる、作業だけに集中できる、というメリットが大きいと思います」

後編に続く)