デジタルクリエイターを支援するサービスカンパニー ボーンデジタル

SWELL: オープン コミュニティから生まれたスプーン不要のコップ(後編)

水野氏は、ファブラボ太宰府では工作機械の指導、ワークショップの企画・実行のほか、試作やデザインの依頼に対応するデザイン業務も手がけている。「お客さんからの依頼や質問は、すごく自分の勉強にもなります。それまではひとりでじっくり考えてやっていたのに対して、ファブラボではオープンソース化して公開しながらつくっていくので、いろいろな人が改良したり、意見をもらったりしながらデザインが発展していく風潮があります」。

Fusion 360でデザインされたプロトタイプ [提供: 水野諒大]

Fusion 360でデザインされたプロトタイプ [提供: 水野諒大]

3D プリントされたプロトタイプ [提供: 水野諒大]

3D プリントされたプロトタイプ [提供: 水野諒大]

光造形 3D プリンターで透明なプロトタイプを出力中 [提供: 水野諒大]

光造形 3D プリンターで透明なプロトタイプを出力中 [提供: 水野諒大]

「今回のコップも、3D プリンターで出力中にいろいろと話しかけてくれる同僚やお客さんがいました。取っ手が付いていた方がいいかもしれないとか、混ぜるときにこぼれにくくするにはどうしたらいいか、というような議論が生まれて、それが助けになりました」。

3 カ月を経て完成したデザインが Fusion 360 のレンダリング機能により画像化されたが、実用化の際にどのような材質にするかは、まだ確定していない。「内側の構造が特徴だと思うので、それを外から見てもわかるようにするためには、透明な素材がいいと思っています。耐熱性のガラスで作れたらいいですね」。

現在、水野氏は九州大学大学院 芸術工学府でデザインストラテジーを専攻。この大学院のコースでは「実際にデザインを行うプロジェクトだけでなく、デザインコンセプトを決めることから企画、生産、知的財産化、流通、販売までの教育も行われています」と言う。「デザイン思考やインクルーシブデザイン、デザインマネジメントなどを幅広く学んでいます。デザイナーは技術職に近い部分がありますが、そこから一歩進んで、デザインを戦略的に活用できるようになりたいと思っています」。

<前編はこちら>

Redshift 日本版エディターを務める、オートデスクのコンテントマーケティング マネージャー。

本記事は「創造の未来」をテーマとするオートデスクのサイト「Redshift ⽇本版」の記事を、許可を得て転載したものです。

redshift_banner