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「ソーシャルゲーム開発におけるShotgunの活用例」セッションレポート(前編)

去る2017年7月14日、「秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATER」において「GTMF(Game Tools & Middleware Forum) 2017 TOKYO」が開催された。今年で15年目を迎えたGTMFは、アプリ・ゲームの開発・運営に関わるソリューションが一堂に会する、入場無料のイベント。多くのアプリ・ゲームの開発メーカー、ゲームエンジンやCGツールベンダーが参加して、多数の展示やセッションがおこなわれた。

本イベントにはボーンデジタルも参加し、「ソーシャルゲーム開発におけるShotgunの活用例」と題したセッションを開催。Shotgunの基本構造やタスク間のリンクや資料の共有設定などのよく利用される内容についてや、Shotgunを使ったタスクのスケジュール(ガントチャート)の運用と人員の管理についての解説がなされた。今回はその模様を紹介していきたい。

 

数あるの中で最強のプロジェクト管理ツール

最初に登壇したのは、ワンダープラネット株式会社イノベーティブサービス事業部のプロデューサー「加藤雅大氏」。Shotgunをソーシャルゲーム開発に活用しはじめた利用背景としては開発チームの肥大化にあるという。

「もともとはプランナー6名程度で1つのソーシャルゲーム開発にあたっていたのですが、国内バージョンに加えて、英語バージョン、中国(繁体字)バージョン、韓国バージョンといった3バージョンが追加されることにより、それぞれのバージョンごとに専用ユニットが動くことになりました。そこで開発のスケジュールをツールで管理しようと考えて、最初に利用したのがGoogleスプレッドシートです。このツールはある意味最強で、なんでもできるのですが自由度が高すぎました。その後、RedmineやTrello、GitHubと連携するwaffle.ioなど、さまざまなプロジェクト管理ツールを試してみました。ただ、これらのツールにはそれぞれ一長一短がありました。たとえば、『誰がどのシートを見れば良いのか混乱する』『終了期限の管理が不明確』『運営のワークフローには適さない』といったデメリットがあり、決め手となるツールがありませんでした。そんなときに偶然出会ったのがShotgunです」

 

そこで加藤氏はShotgunをテスト運用してみたところ、他のツールの問題点を解決できることがわかったという。「誰がどのシートを見れば良いのか混乱する」という問題点については、「一つのデータから役割ごとに必要なビューを生成」でき、「フィルター機能が強力で必要な情報だけを見られる」ことから解決。

「終了期限の管理が不明確」という問題点については、「休日も考慮したガントチャートが生成できる」ことで解決。そして、「運営のワークフローには適さない」といった問題点については、「タスクテンプレートによる繰り返しタスクが入力できる」ことで解決できたことから、ワンダープラネットにおいてShotgunの本格運用がスタートした。

「三つの問題点をクリアした中でもっとも便利に感じたのは、強力なフィルター機能です。このフィルター機能を使うと、『担当別』『工程別』『期限別』など、タスクに関して様々な絞り込みが可能になります。フィルターの動きも速く、必要なタスクだけをすぐに取り出して見ることができます。Shotgunはこのフィルターをうまく使うことがキモとなります。たとえば、ディレクターとして見たいものだけ取り出したり、ダッシュボードまでもサマリーにしてしまいプロデューサーなどの経営陣が確認したり。逆に、もう少し細かく自分のタスクだけ見たいというときにはマイタスク機能を活用するかたちで、1回のデータ入力で、複数のメンバーが、それぞれ見たい形式でデータを見ることができる、ということがShotgunの強みだと感じています」

Shotgunを導入することで毎日時間をかけていた進捗確認が、ダッシュボードを見るだけで進捗確認できるようになり、ワンダープラネットでは「大まかに試算すると、1ヵ月あたりで100時間程度(15分×20日×参加人数-入力工数)も時間短縮できた」と試算する。

ただ、Shotgunを導入するにあたり、ワンダープラネットでは現場に理解を得られることには苦労している。それまで使用していたRedmineのようなツールとは概念が異なるほか、ツールとしてパワフルすぎるというその点で「使い方がわかりにくい」という声も挙がっていたという。

「現場からのわかりにくいという声に対応するために、PowerPointを使用して私自身で30ページ程度のShotgunマニュアルを作成。現場のメンバーに配布しました。マニュアル作成後も不明点などへの回答をFAQとして蓄積して、マニュアルを充実させていきました。いったんShotgunを導入すると決めたら、現場に馴染むまできちんとサポートをしてあげることが必要だと思います」

 

後編)へ続く