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フォード・モーター・カンパニーが VR によるプロトタイピングでカー デザインを再発明(後編)

デザインエンジンにとってのキーとなるコラボレーション
FIVE は魅力的なレベルのコラボレーションを育成する。別の大陸にいる人たちが同じモデルへ、同時に没入可能だ。会話をして、何が起こっているかを正しく理解し、様々な分野で車の健全性を確認できる。

オートデスクの「Design Night Detroit: Fast Lane to the Future」でバーチャルリアリティと拡張現実の未来について語るエリザベス・バロン氏の動画

エンジアリング的な整合性を確認したり、特定の問題の状況を評価する表を使って成果を検討したりするだけではない。その状況を簡単に理解して、修正が必要かどうかを決定することができる。これはエンジニアの実践と顧客の声を組み合わせているということだ。常に誰かの視点で見ることにより、顧客を前面に出して全てを見渡し、それを繰り返す。

また製品開発のプロセスのあらゆる時点でバリエーションと車体の外観を確認することで、素晴らしいデザインに製造プロセスを組み込むことが可能になる。代案に切り替えることもでき、それにより地球上の誰もが厳重かつ反応に優れた方法で、リアルタイムでコラボレーションを行える。

デザインとエンジニアリングの収束する場所
フォードは巨大な世界企業であり、そのコミュニケーション量と FIVE で行っている方法を拡張している最中だ。強烈な、セクシーな、あるいはクールな美しいフォルムと素晴らしいシェイプを生み出しているアーティストが、ボディ構造を担当し、その使用される状況下での車体のパフォーマンスを懸念するエンジニアと話すことができるようになっている。

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FIVE をデモするエリザベス・バロン氏 [提供: フォード・モーター・カンパニー]

全く別の世界で生きているアーティストとエンジニアが、非常に効果的かつ洞察力に富んだ会話を行って、コミュニケーションすることが可能になった。FIVE 環境は、その両者が関係を結び、理解できるものを提供している。VREDによってフォードは適切なデータを、適切な場所にいる適切な人へ、適切な文脈で提供できる。

これによって文化が変わる。様々なチームの人達全てが、異なる考え方でものを見る。過去においては、会議室のテーブルを取り囲んで PowerPoint をレビューしていた。ミーティングの最中に椅子から立ち上がり、たとえ関連していたとしても主題から外れた質問をすることは社会的に許されなかった。

だが FIVE により、それが本当に可能となった。そこに参加して、ジョーに話す必要があれば「これをチェックしてみてよ。この部分に心配はあるかな?」と言える。これは、コミュニケーションが根本から変革され、チーム構築や仕事の方法にも大きな影響を与える文化の変化だ。

これは全く予測していなかったことだが、素晴らしいことだ。そして成長を続けている。毎日、ラボに立ち寄るごとに、それが進行していることに興奮している。FIVE の本当のパワーは、それが全体論だということだ。誰もが参加でき、誰もが最終製品である、我々の作る美しい車を理解できる。これは素晴らしいことだ。

 

Elizabeth Baron

エリザベス・バロンはフォード・モーター・カンパニーにおけるバーチャルリアリティ、拡張現実のテクニカルスペシャリスト。同社で“Immersive Vehicle Verification Technology”(没入可能な車の検証テクノロジー) の開発と展開を推進してきました。FIVE (Ford immersive Vehicle Environment) プロセスとテクノロジーの最初の開発者。

本記事は「創造の未来」をテーマとするオートデスクのサイト「Redshift  日本版」の記事を、許可を得て転載したものです。

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