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『render PRO』の導入で、レンダリングの概念が変わる?(前編)

『render PRO』はCGワークやアニメーションのワークフローの中で最もマシンパワーが必要となる、レンダリングに特化した「パーソナルレンダリングシステム」だ。render PROは、米BOXX Technologiesが製造している。
日本では、正規代理店であるトーワ電機株式会社が販売を担当している。render PROによるレンダリングについて、また日本での展開について、同社の小島氏にお話を伺った。お話は製品だけに留まらず、日本の現場の分析にまで広がった。

──render PROの日本での販売はいつからですか。

「我々が始めたのは一昨年ですね。BOXX製品を持ってきたのも一昨年です」

──開発体制はどのように分業されているのでしょうか。

「すべてアメリカでやっていて、我々がそこに関わっているわけではありません」

──製品について、概要をご解説ください。

「レンダリングに特化しているのはこちらです、と紹介しています。render PROはデスクサイドに設置するもので、4Uラックに配置するものは『renderBOXX』という製品名です。
renderBOXXを組み合わせたものが『renderFarm』で、こちらはアメリカで販売しています。アメリカではどちらかというと、CGユーザーよりデザイン設計のレンダリング用で売れているようです」

──日本でも、デザイン設計のほうに展開しているのでしょうか。

「まだまだですね。アメリカはプロダクト設計が非常に伸びていると言っていました。日本ではプロダクトのデザイン設計でCGを使うことは少ないですね。
アメリカの場合は、デザインを作ってレンダリングして明日から売り出す、というようなやり方もありますが、日本では実物が必要になりますね」

──大きいプロジェクトでは、まず実物大の大きさを見せることもありますね。

「そうですね。アメリカでは開発が完了したら中国の工場で作らせて、物が出来上がる前に売り出してしまう、という考え方のものもあります。面積も広いので、店まで出向いて売るということもあまりやっていない。とは言いつつ、彼らは製品のデザインに関しても全部自分たちで作っています。
特にrender PROは、他社にはない特徴的なデザインとご案内しています」

──ワークステーションの上に積めるし、ショースペースにも置ける。そういった点も考慮されているのでしょうか。

「そうですね」

──render PROを使った短編CGアニメーション『SUSHI POLICE』でも、一番のメリットはスピード化だったとのことでした。元々は5台のワークステーションだったところに導入したようですが、ハイスペックのものを1台使うほうが、より効率的ということはあるのでしょうか。

「レンダリングに一番時間がかかっていたので、そこを高速化したということですね。SUSHI POLICEの場合は書き直しを早くして修正が効いたほうがいい、早く出来ればその分修正できるということで。
レンダリングの時間短縮でワークフローが短くなって、他の作業も良くなって、デザイナーの質も上がるということですね」

──時間に余裕ができたことで、仕事の流れが整理できるようになったのですね。

「そこはCPUによるところが多い。CPUのコアのおかげで、だいぶ早くなりましたね。ソフトも単に改善しているわけではなくて、最新ハードウェアに合わせて最適化していますし」

──サブスクリプションともマッチしていますね。

「サブスクリプションで最新バージョンを導入して、最新のハードウェアで走らせると『これだけ早い』とわかりますね」

──昔と比べれば、サブスクリプション化によって現場がアップグレードしていくハードルは下がってきているとお考えですか。

「下がってきていると思います、投資機会も増えていますし。映像では8kも需要が出てきていますし、VRも対応しなきゃいけない。今までの情報を使って小手先で、とはできなくなってきていますね」

後編へ続く)